オルタナフードで楽しい食の未来を創造する オルタナティブフードパーティー
第1回アグリサイエンスグランプリ出場チームを追う
新たな食肉文化を創出し、食べることで地球に優しく明るい未来を実現したい。昨年のグランプリで?野家賞を獲得した、事業を拡大するオルタナティブフードパーティー(AFP)の代表の加藤貴之氏に話を伺った。
農地と消費者を繋ぎ、新たな食肉の流通を
「食料問題、環境問題の解決、食の伝統保護につながる食材『オルタナフード』で、楽しい食の未来を実現したい」と熱く語る加藤氏。2011年の東日本大震災をきっかけに「今の自分に何かできることはないだろうか」と考えるようになったという。知人のダチョウ牧場を訪問した際には、ダチョウの飼育には飼料として穀物をほとんど消費しないことや、病気にも強く生産効率が高いこと、農地ではイノシシやシカなどの鳥獣被害が深刻化していることを知った。人口増加による世界レベルでの食料問題、穀物価格の高騰による畜産経営の悪化など、食を取り巻く環境には暗い話題が多い。そこで、これからの食料、食肉文化を支え社会課題の解決につながる食材を「オルタナフード」と新たに定義し、シカ、イノシシ、ダチョウ肉などの生産者と飲食店を繋ぐ事業を始めた。
流通から生産現場への展開
オルタナフードの流通事業を展開する中で、安定生産や加工など生産現場側での課題を感じていた。そこで、事業を拡大し自ら生産の現場に携わるために、第1回アグリサイエンスグランプリに応募。リバネスのメンターと共に事業計画を練り、書類審査、最終選考に進むに連れて「メンバー同士で改めてビジョンを共有し、事業をまとめ推進するよいきっかけとなった」と話す加藤氏。2014年11月の最終選考会では、見事「?野家賞」を獲得。全国規模の企業からの受賞は、彼らの活動が加速するきっかけとなった。グランプリで得られたネットワークと実績は、地域での活動の信頼につながり、約5ヵ月後の2015年4月には島根の農家と新たなダチョウ牧場の展開をスタート。現在では、オルタナフードに共感する合計4ヶ所の牧場と連携し、調査や立ち上げのサポートなどを始めている。
新たな仲間とともにビジョンを実現する
「日常の生活でオルタナフードが食卓に並び、明るい食の未来をみんなで創っていきたい」と話す加藤氏。毎月第2火曜日は楽しい食の未来をつなげていくプロジェクトとして、気軽にオルタナフードに触れるイベントを開催している。現在、食材の普及、広告マーケティング、デザイナーや栄養学を学ぶ学生など、10名ほどの多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まり、事業は加速し始めた。普段食べる食材の選択肢を少し変えてみることで、世界を変える、AFPの今後の活動に注目したい。
(文/川名祥史)