リアルテックグローバルファンドに丸井グループが参画

リアルテックグローバルファンドに丸井グループが参画

リバネスの子会社であるリアルテックホールディングス株式会社(本社:東京都墨田区、代表:丸幸弘、永田暁彦)が運営する「リアルテックグローバルファンド」(正式名称:「リアルテックグローバルファンド1号投資事業組合」)は、新たな組合員として、株式会社丸井グループ(本社:東京都中野区、代表取締役社長:青井 浩)が参画したことをお知らせ致します。

リアルテックグローバルファンドでは、2020年7月より東南アジアのリアルテックベンチャーへの投資育成活動を実施しております。シンガポール発バイオベンチャー、Shiok Meats社を中心に複数社へ出資しており、東南アジア全域のリアルテックベンチャーの日本進出支援を加速しております。株式会社丸井グループ(以下:丸井)は、2020年7月に共創投資部を発足し、主に日本国内のD2C領域のスタートアップとの本業シナジーを目指した投資活動を積極的に行ってきました。
一見領域の異なる両社が何を狙いとして交わりあったのか。丸井グループ・取締役上席執行役員共創投資部長の青木正久氏に弊社代表の丸が伺いました。

 

小売り・フィンテックに並ぶ、事業の新しい柱の創出


今回、メインLPとしてご一緒させていただく丸井さんは、小売り・フィンテックのイメージが強い会社ですが、これまでリバネス・リアルテックとしてあまり関わりがありませんでした。僕らのような「ディープテック」領域の会社と連携するケースはなかったように思うのですが、改めて今回グローバルファンドに参画いただいた背景はどこにあるのでしょうか?

青木氏
弊社は昨年7月に共創投資部が発足し、スタートアップと共に新たな事業を作っていく取り組みを積極化してきました。当初は「投資調査部」として純投資や業界調査を主目的としていましたが、昨今の投資熱の高まりでお金がコモディティ化してきたことで、「何を一緒に成せるのか」という視点でスタートアップやVC・お客様が我々を選別する時代になってきたと感じています。だからこそ丸井とスタートアップでお互いの強みを持ち寄り、次世代に向けたサステイナブルなビジネスを共創したいと思っています。


確か、丸井は30くらいのリアル店舗をもっていて、エポスカードを通したフィンテック事業も取り組まれていますよね。いわゆるD2C領域のスタートアップとの相性は非常に良いように思います。でも、それだけでは人口減少やコロナ禍の影響で客足が減りつつあるリアル店舗中心のビジネスが永続しない。新しいビジネスモデルの構築が必要とされる中で、ディープテック領域に注目されているということでしょうか。

青木氏
仰る通りです。小売りやフィンテック領域はある程度確立しているものの、業界全体で見れば中堅規模ですし、720万人にご利用いただいているエポスカードもまだまだこれから伸ばしていきたい。こうした場に、丸井だからこそ提供できる「独自のエクスペリエンス」を創ることによって、日本に新しいカルチャーを生み出していきたいのです。そこに、新しい価値を創造しているディープテック領域のスタートアップとの連携の可能性を感じました。

サービスだけじゃない、「丸テック = 丸井テック」の確立へ


例えばビーガンのようなフードカルチャーを広めたいと言ったときに、テクノロジーがないとすぐに色々な会社が乱立して差別化が計れないですよね。大元の原材料や冷凍、流通等のテクノロジーを組み合わせることができれば、一気に他の小売りやフィンテックビジネスとも繋がるイメージが持てます。

青木氏
まさに丸さんたちと一緒に「丸テック = 丸井テック」を確立していくことによって、これまでの強みだったサービス領域に次ぐ、持続可能なビジネスを生み出したいと思っています。フードというキーワードでも、フードサービスからフードテックへと思考の領域を広げることによって、フードテック関連のショールームをマルイの店舗内で展開するイメージが沸きます。そうすると、本質的に価値のある商品を、分かりやすく消費者に伝えるサービス面でも貢献できるのではないかと思っています。実は似たような取り組みは「b8ta」でも実施しており、リアルテックと一緒にもっと広範囲なお客様に東南アジアのテックを広めていきたいと思ったのです。


丸井の強みは、リアルの店舗を持っていてお客様と直接接点があるところです。リアルテックベンチャーの多くはマスに伝える事が一番苦手だったりするので、消費行動を変えていく取り組みを一緒にしていきたいです。
この動きを加速させるためには、丸井の中にテックチームを作らないとですね。テクノロジーを探しながら知識にアップデートし、社内で独自のテクノロジーに昇華できる集団。テクノロジーと丸井の両方の価値がわかるハブとなるチームを創ることによって、「丸井テック」のイメージも具体化されて共有しやすくなるし、社内外のコミュニケーションがより加速していくと思います。

青木氏
面白いですね。例えば社員が出向する形でそうしたチームを実現することも可能ですね。弊社もD2C企業やVCに約20名ほど出向しておりますが、最前線の新しい文化に仲間が触れてくることによって、帰ってきたあとの効果を少しずつ実感しています。そういった取り組みも一緒にやっていきたいですね。


実はこの1月からはグローバルファンドのメインLPである荏原製作所からも1名出向頂いております。東南アジアを主戦場としながら、言語や文化の壁を乗り越えて連携を生み出さないといけない機会は、人材育成という文脈でも非常に意味があると思っています。
丸井からも是非、一緒に東南アジアの課題解決に燃える人材をよろしくお願いいたします!

 

多文化が共生できるフードカルチャーの創出

青木氏
現在、丸井が注目しているのはフードテックです。東南アジアは6.5億人マーケットに対して、平均年齢29歳と言われておりますが、多文化共生型だからこそ特に「食」がキーテーマだと感じています。これまで米国や欧州も見てきましたが、フードテックは東南アジアと日本が主戦になると感じております。


いつまでも東南アジアを「下請け」と思っていたら大間違い。工場拠点、貧困層が多い印象があるかと思いますが、今やGrabやGojekなどがインフラを整えたことによって新しい文化や技術が発展しやすい環境が整っていると感じています。多様な食文化が混ざり合う6.5億人の巨大市場で、サステイナブルに食料自給率を向上させることができるあらゆるテクノロジーへの投資が、国家レベルで加速しています。シンガポールでは細胞由来の培養鶏肉の販売が昨年末世界で初めて承認されました。
リアルテックで出資しているShiok Meats社はフードテックの代表例ですが、こういうスタートアップと連携して日本での販売支援を一緒にしていきたいです。「細胞培養肉と言えば丸井」まで持っていきましょう!

青木氏
僕らの強みは「エントリー層」に新しいカルチャーを届かせることにありますが、まさに新しいフードカルチャーを作っていくというのは、一つのテーマだと思っています。
「なんとなく聞いたことはあるが、食べたことも見たこともない。けどたまたま丸井に行ったら気の利いた店員さんが売っているから試してみよう。」
そんな世界観を作っていきたいですね。特に東南アジアにおいては、糖尿病の課題もあればハラル文化の側面もある。より難易度が高いからこそアプローチの意味があるのではと感じています。


一つのテクノロジーだけではなく、多面的に東南アジアのテクノロジーや文化を開拓していくことによって、10年後の丸井の印象をガラッと変えていけると思っています。小売りやフィンテックをやっいていた丸井だけど、「◯◯テック」の会社になったよね、と。
その一つの切り口がフードであり、東南アジアのフードカルチャーと日本のテクノロジーが出会うことによって、また新しい価値観が生まれていくと思います。リアル店舗だからこそ生まれるコミュニケーションがその価値観を広げていく。だからこそ丸井と僕らが組む意味があるんだと感じています。

青木氏
リアル店舗を持っている強さってまだまだ残ると思っています。スタートアップには上手く丸井の看板を使ってもらって、お客さんが信頼できる環境を提供して欲しいと思っていますし、まさにそういった連携をリバネス・リアルテックと一緒に生み出していければと思っています。


ぜひ一緒にやっていきましょう!


<対談者経歴>

株式会社丸井グループ
取締役上席執行役員共創投資部長
青木 正久

1992年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。同年4月株式会社ムービング入社。トラックドライバーや営業、企画部門を担当。2009年より株式会社丸井へ異動し、2015年新宿マルイ アネックス店長、2016年株式会社丸井グループアニメ事業部長、2017年執行役員。2019年4月より、上席執行役員、株式会社丸井代表取締役社長。同年6月、株式会社丸井グループ取締役に就任。2020年7月より現職。

 

リアルテックホールディングス株式会社
代表取締役
丸 幸弘

東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了、博士(農学)。大学院在学中に理工系学生のみでリバネスを設立。大学・地域に眠る経営資源や技術を組み合せて新事業のタネを生み出す「知識製造業」を営み、世界の知を集めるインフラ「知識プラットフォーム」を通じて、200以上のプロジェクトを進行させる。ユーグレナなど多数のベンチャー企業の立ち上げにも携わるイノベーター。

 

■リアルテックファンドについて

リアルテックホールディングス株式会社が、自社ならびに子会社の合同会社リアルテックジャパンを通じて管理運営するベンチャーキャピタルファンド。地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジー(リアルテック)の社会実装に取り組んでいます。

正式名称 :リアルテックファンド1号投資事業有限責任組合(A)、リアルテックファンド2号投資事業有限責任組合(A)、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合(A)、リアルテックグローバルファンド1号投資事業組合(B)
無限責任組合員:(A)合同会社リアルテックジャパン
業務執行組合員:(B)リアルテックホールディングス株式会社

■ リアルテックホールディングスについて

リアルテックホールディングス株式会社は株式会社ユーグレナと株式会社リバネスの合弁企業です。私たちは、リアルテックの生みの親である研究者とその社会実装に命を懸ける起業家と共に、より良い未来を創造します。「リアルテック」とは、地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーであり、世界を変えるのは、いつでもリアルテックであると信じています。
HP: https://www.realtech.holdings

■ お問い合わせ先
リアルテックホールディングス株式会社 広報担当:成田