生命を育む水の流れと循環をつくる 「リバネス・ウォーターサイクル・プロジェクト」を発足

このたび、株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役 グループCEO:丸 幸弘)は、企業、ベンチャー、研究機関、行政、漁業者等とともに、生命を育む水の流れと循環をつくる「リバネス・ウォーターサイクル・プロジェクト(LVNS WATER CYCLE PROJECT)」を発足いたします。
ウェブサイト:https://water-cycle.lne.st/
リバネス・ウォーターサイクル・プロジェクトのビジョン
生命を育む水の流れと循環をつくる
〜Designing Flows for Life〜
様々な物質やエネルギーを運ぶ水は、原初の時代から生命を育み、地球上の多様な生態系をつないできました。しかし今、人類社会の発展に伴い、その循環は大きく変化しています。過剰に浄化され、生命を維持できないほど澄んだ水が河川へ放流される一方で、難分解性化学物質やマイクロプラスチックは水循環全体へ拡散し、温暖化によって変化した海では栄養循環が乱れ、生物が本来の居場所を失いつつあります。
これまで水の課題は、「汚染を減らす」「排水基準を満たす」「浄化する」といった個別最適の取り組みとして進められてきました。しかし、水は本来、地域や産業、生態系をつなぐ「流れ」です。一つの場所、一つの技術だけでは循環は取り戻せません。さらに、水の価値は多様な主体にまたがるため、優れた技術が生まれてたとしても、それらをつなぎ、循環全体の価値へと転換する仕組みがなく、新たな産業へと育ちにくい状況が続いています。
だからこそ今必要なのは、水を「処理する対象」ではなく、「生命・物質・エネルギーを運ぶ循環システム」として捉え直し、その循環を再設計する技術や事業を生み出すことです。
本プロジェクトが目指すのは、「水をきれいに使おう」という活動ではありません。
陸と海、清と濁の狭間で、生命を育む水の流れと循環をつくる。
何を流し、何をせき止め、何を回収し、どこへ戻すのか。
水を単なる資源や汚染の媒体としてではなく、物質、エネルギー、そして生命を運ぶ流れとして捉え直すことで、その問いが、分野を超えた知識をつなぎ、新たな技術と事業を生み出します。
リバネス・ウォーターサイクル・プロジェクトは、陸域から河川、沿岸、海洋までを一続きの水圏として捉え、研究者、スタートアップ、企業、行政、地域社会が連携することで、水の循環そのものを価値へと変える新しい産業の創出を目指します。
リバネスにおける水循環関連プロジェクトの歴史
リバネスにおける水循環に関連した取り組みは、2015年7月に開催した小学生のための海洋教育プログラム「海の王国」から始まりました。海洋科学や海洋産業に関わる研究者、企業・団体とともに、次世代が海に親しみ、自ら問いを持つ機会を育んできました。
2017年には、海・水産・水環境に関わる研究に挑戦する10代を支援する「マリンチャレンジプログラム」を開始しました。研究資金の助成と研究コーチによる伴走を通じて、2025年度までに359の中高生研究チームによる研究活動を支援し、2026年度も40チームの支援を行っています。また同年には、海洋分野の技術シーズを発掘・育成する「マリンテックグランプリ」、さらに、海底地形図作成を加速する技術開発プロジェクト「DeSET Project」も始動しました。DeSET Projectでは、研究者、ベンチャー企業、町工場等が分野を越えてチームを形成し、2017年から2021年までの3期で累計9チームの技術開発を推進しました。
2019年からは、増え続ける海ごみという課題に対し、回収技術だけでなく、生産・消費・廃棄を含む経済システムそのものを変える「PROJECT IKKAKU」を開始しました。ベンチャー、学術機関、町工場、大企業・中小企業による超異分野チームから、海ごみ削減につながる8つのサービスが生まれています。
こうした取り組みを通じて、リバネスは教育、人材育成、研究開発、技術実証、事業創出まで、水循環に関わる多様な知識とネットワークを積み重ねてきました。
さらに近年では、藻場再生、環境DNAによる生態系モニタリング、海洋環境の影響評価、持続可能な養殖、河川からのごみ流出対策、PFAS分解など、海だけでなく、陸域から河川、沿岸、海洋へとつながる水循環全体を対象とした取り組みへと発展しています。
これまで蓄積してきた知識・技術・実証フィールドを結び直し、個別の課題解決に向けた取り組みを、より大きな循環の設計へ発展させるため、本プロジェクトを発足します。
リバネスがパートナーとともに立ち上げた関連プロジェクト
リバネスではこれまでに、様々なパートナーとともに水循環に関連するプロジェクトを立ち上げてきました。
| アプローチ | 名称 | パートナー |
| 環境情報分析 | 海底地形図作成を飛躍的に加速する「DeSET Project」 | 日本財団、JASTO |
| 環境情報分析 | 分子生物学的評価サービス「BETA」 | 株式会社イノカ |
| 水産資源管理 | 持続可能なスマート閉鎖循環式陸上養殖装置を開発する「AIRAS (ASAHI Innovative RAS) Project」 | 旭有機材株式会社、株式会社ノベルジェン、株式会社smolt |
| 水産資源管理 | 次世代と共に水圏の生物多様性評価に挑戦する「TASUKI -襷- Project」 | 株式会社ハイラブル、株式会社フィッシュパス、株式会社フォーカスシステムズ、旭有機材株式会社 |
| 生態系再生・制御 | 藻場再生資材開発プロジェクト | DAIKEN株式会社、大成生コン株式会社、三豊市、詫間漁業協同組合 |
| 生態系再生・制御 | 藍色光による海洋生物付着防止システムの開発 | レボックス株式会社、株式会社セシルリサーチ |
| 海ごみ削減 | 海ごみを削減するビジネスを創る「プロジェクト・イッカク」 | 日本財団、JASTO |
| 海ごみ削減 | 海ごみを削減するために河川からごみを除去する「Galapagos Gardians」 | Ichthion Ltd. |
| 教育普及・文化醸成 | 次世代の海洋・水圏研究者を育てる「マリンチャレンジプログラム」 | 日本財団、JASTO |
| 教育普及・文化醸成 | 小学生のための「海の王国」 | 日本財団、今治市 |
| 教育普及・文化醸成 | 若手研究者による海洋研究を推進する「リバネス研究費潮だまり財団賞」の設置 | 一般財団法人潮だまり財団 |
本プロジェクトが推進する取り組み
本プロジェクトでは、個別の技術や活動を並べるだけでなく、異なるアプローチを一つの地域や水系の中で組み合わせ、観測から仮説構築、技術開発、実証、継続運用までをつなぎます。重点的に推進する取り組みは、次の6領域です。
環境情報分析
地形、底質、水温、栄養塩、潮流、水質、生物分布などを計測・統合し、水圏で何が起きているかを捉えます。取得した情報を、地域ごとの課題の把握と施策の評価に活用します。
水産資源管理
環境情報と生物情報を結び、漁業・養殖における資源の状態を把握します。生産性だけでなく、生態系への影響と地域における持続性を含めた水産資源の利用モデルを開発します。
生態系再生・制御
藻場や干潟をはじめとする生物の生息場を再生し、その土地に適した状態を維持する技術を開発します。資材、微生物、生物間相互作用、流れの制御を組み合わせ、生命を育む場をつくります。
水環境浄化
PFASや微小プラスチックなど残留・拡散する物質を検出、分離、分解するとともに、除去すべきものと生態系に必要なものを見極めます。単に水を澄ませるのではなく、利用と放流の先まで含めた水質管理を設計します。
海ごみ削減
海に到達したごみの回収だけでなく、陸域・河川からの流出抑制、回収物の資源化、発生源となる生産・消費の仕組みまでを対象に、流出を生まない循環を構築します。
教育普及・文化醸成
次世代、研究者、企業、地域の生活者が水圏に問いを持ち、異分野から水の課題に参加する機会をつくります。研究支援、教育プログラム、人材育成を通じて、循環を担う仲間を増やします。
これからの展開
今後、リバネス・ウォーターサイクル・プロジェクトでは、ベンチャーや大学が持つ知識・技術と、中小・中堅企業や大手企業が持つアセットを掛け合わせ、自治体や漁業者など地域のプレイヤーとともに、水循環の課題に挑みます。地域ごとの水の流れから課題を見出し、そこで生まれた知識をプロジェクト間で循環させることで、新たな研究開発、実証、事業化へとつなげていきます。
水循環は守るものではなく、育てるもの。そして育てるためには、多様な技術と知識が循環する産業が必要です。リバネス・ウォーターサイクル・プロジェクトは、水の循環と知識の循環を同時に生み出し、生命を育む新しい産業を世界へ実装していきます。
<本件に関する問合せ先>
株式会社リバネス 西山・滝野
TEL:03-5227-4198 E-mail:[email protected]
