実験をやって・教えてちからを伸ばす【帝京大学理工学部】

実験をやって・教えてちからを伸ばす【帝京大学理工学部】

帝京大学 理工学部 バイオサイエンス学科 学科長 梶谷正行 教授

帝京大に来て22年。学科長となった今も、梶谷正行先生は毎日白衣を着て学生と一緒に実験室に立つ。「この歳になっても自分で実験できる環境にあるのがうれしいんですよ。僕は実験が好きだから」。本物に触れ、手を動かすことによって自分の中にある興味を刺激する、そんな機会をなるべく増やしたいと考えている。

生き物の中の分子を追う

ここバイオサイエンス学科で教えている「バイオ」は、主に「分子生物学」だ。生き物の中の分子がどのように働いているかに焦点を絞って研究している先生が多い。「遺伝子組換えを活用して食べるワクチンをつくる研究や、微細藻類からバイオ燃料生産を目指す研究など応用的な研究を行う研究室もあれば、新しい植物ホルモン物質を探索しその働きを調べるような、基礎的な研究も行われています」と梶谷先生。生き物の不思議をミクロな視点で探究し、それを社会に役立てられるよう応用するのがバイオサイエンス学科のミッションだ。

人と接する経験が、社会で活きる力を伸ばす

卒業生の就職先は、種苗会社、食品メーカー、製薬企業、公務員など多方面にわたる。「社会に出た後、授業や研究活動で得た知識がダイレクトに役立つわけではありません。だからこそ、どこに行っても活躍できる人材育成を心がけています」と話す梶谷先生が目指すのは、知識と知識を結びつけ、問題解決ができる人材の育成だ。
帝京大学理工学部では、「サイエンスキャンプ」や「理科実験講座」といった、中・高校生向けの出前授業を展開している。そこに梶谷先生は、学生をスタッフとしてできるだけ連れて行くよう心がけている。「出張依頼は多くの場合、『工学系+非工学系』の講座、または『生物系+非生物系』の講座のセットで来ます。『非工学系』と『生物系』のコンテンツはバイオサイエンス学科が持っているので、バイオサイエンス学科の学生は他の学科の学生よりも、中高生むけの出前授業を多く経験することができます」。学生は、普段の学校生活で身につけてきた知識を中高生に教えることによって力を伸ばしていくのだ。

学んで伝えるサイクルを

梶谷先生が高校時代を過ごした1970年代はちょうど、全国の高校に理数科が広がり始めた頃だ。先生は理数科に籍を置き、通常は課外活動で行われることの多い「ショウジョウバエの遺伝実験」を、高校1年生の生物の授業で行うなど、充実した時間を過ごしていた。実験によってサイエンスへの興味を深めてきた自らの体験を、学生にも味わってほしいと考えている。「今後、学生実習もさらに充実させたい」と梶谷先生。学生からも、「もっと実験をしたい」という声が上がっている。また今、学科に所属する教員の顔ぶれもダイナミックに変化しており、「新しくいらした先生方の研究テーマを活かせば、実習の内容がさらに充実するはず」と考えている。帝京大学で研究のおもしろさに目覚めて、研究者として活躍している卒業生もいる。「決して成績がよかったわけじゃないんです。様々な実験や人々に触れたことが、その子の中にもともとあったきっかけに火をつけたのではないかと思います」と梶谷先生は話す。
実験をして、人に触れることによって興味を深め、力を伸ばす。そのサイクルは、ここ宇都宮のバイオサイエンス学科から始まる。

 

帝京大学 理工学部 バイオサイエンス学科

バイオサイエンスを基礎から学び、世の中に役立つ能力を追究する
バイオサイエンスは、理学、工学、農学、薬学、医学にわたる多様な学問分野の交流によって成り立っています。本学科では、講義で得た知識を、様々な実験を通して確実なものにし、それらを関連づけて理解を深めることを目指します。

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