研究発表会を活かし、競わせ学ばせる工夫

研究発表会を活かし、競わせ学ばせる工夫

昨年末12月23日のサイエンス・キャッスルin KANSAI当日、常翔啓光学園高等学校の2人の生徒は自分たちの活動成果を堂々と口頭発表をしてみせた。しかし、この発表は当日前に立った2名だけで作り上げたものではない。発表までの期間を活用して、より効果の高い指導を行う瀬戸先生にお話をうかがった。

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口頭発表の舞台を目指す
昨年度1月、ある大学の科学シンポジウムで、一昨年の研究成果のポスター発表を行った。そこで聞いた他校の高校生の口頭発表をきっかけに、生徒たちの中には、ポスター発表だけではなく、スライドを使って口頭発表をしたいという思いが生まれたという。調べる、まとめる、発表するという研究の一連の流れを生徒に経験させることは、科学的好奇心やプレゼンテーション能力の醸成につながるとの思いもあった。そこで、今年度の夏にSPP※の講座で取り組んだ「ウニの受精に与える洗剤の影響」の研究成果を発表できる場を探していた。その折、中高生の研究発表の場、サイエンス・キャッスルの案内を受け参加を決めた。

学内コンペティションで競い、協力する
しかし研究に取り組んだ15人全員が、口頭発表をできるわけではない。そこで3グループに分け学内コンペティションを実施することにした。各グループで、まず1か月で研究内容を論文形式にまとめ、次の1か月間で発表用のスライドを作り上げ、12月はじめにコンペティションを行った。同じ内容についての発表にもかかわらず、考察や結論が違ったり、実験方法の説明をビーカーの絵やアニメーションを使ってわかりやすく工夫していたりと、グループごとに個性がみられた。興味を引く工夫があったか、わかりやすく話せていたか、などを基準に生徒達自身と理科教員が評価を行った。グループごとに評価の高い項目に違いがあったが、総合的にはどのグループも横並びだった。そこでサイエンス・キャッスルの発表は、各グループからスライド担当、プレゼン担当がそれぞれ集まり議論して作り上げた。発表当日、口頭発表を行わなかった生徒はポスター発表にまわり、誰もが発表ができる状態にした。

多面的な視点と判断する力を養う 
グループに分かれて研究結果をまとめる過程で、必然的にグループ間で議論が起こる。同じテーマに取り組むことで、よりわかりやすく人に伝えるためにはどうすればいいかを学べたのではないか、と先生は振り返る。「他の人の意見を聞き、多面的に物事をみる力や、さまざまな意見をどう取り入れるか判断する力は、子どもたちにとって必要だと感じています」。今回の経験は小さな一歩かもしれないが、彼らのこれからの成長にきっと役立つだろう。

※SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)はJST(独立行政法人科学技術振興機構)の支援事業です。

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