君の研究で建物の常識を打ち破れ!

君の研究で建物の常識を打ち破れ!

株式会社竹中工務店 執行役員 技術本部長 兼 技術研究所長

谷口 元 さん

 

「衣食住」と言われるように、住まいを建てる建築は私たちの生活の基盤となる活動だ。江戸時代の神社仏閣の造営に始まり、日本初のドーム球場「東京ドーム」、高さ日本一のビルになった大阪の「あべのハルカス」まで建築の設計と施工を手がける老舗建設企業の同社は、建物のさらなる可能性を求めて、新しいアイデアを求めている。

多様性を維持する研究所

「建築学科出身者ばかりかというとそ うでもないんですよ」というのは、竹中 工務店の技術研究所長を勤める谷口さ ん。建築学専攻の他にも、化学、数学、 生態学など多様なバックグラウンドをも つスタッフが多く集まっていることが同 社の強みだ。「建物は人の生活に大きく 関わるものなので、あらゆる分野が研究 対象になります」と語る。自身は、当時 先進的であった建物構造の数値解析を 行ってきた研究者だ。柱や梁の強度か ら、建物全体を見たときの耐震強度まで、 性能の十分でなかったコンピュータを用 いた解析にチャレンジした。最先端の技 術を活かすスピリットは今も健在で、新 しい知見を貪欲に取り込みながら「人の 生活を支えるものづくり」を推進するた めの研究にアプローチし続けている。

建築業界は異分野にオープン

材料の研究、設備機器の開発、環境へ の影響の調査、都市計画など、この業界 はもともと多くの分野の知を結集させる ことで成り立ってきた。これを加速させ たのが、2011年におきた東日本大震災 だ。震災以降、建築業界の最重点領域の 1つが「スマートコミュニティ」への転 換。スマートコミュニティとはITや環 境技術などの先端技術を駆使して街全体 のエネルギーの有効利用を図るまちづく りのことだ。たとえば、2014年に完成 した大阪の商業ビル「あべのハルカス」 ではセキュリティや防災、各種センシン グなどの設備システムをネットワークで つなげ、そこで交わされる情報をクラウ ドで統合するプラットフォームを作った り、交通動線や駅、百貨店、美術館、オフィ ス、ホテル、など都市の機能を1つのビ ルに縦に積み上げた縦型都市とすること でエネルギーの供給と利用の効率を高め るなど、大胆な設計が適用された。この 流れをさらに一歩推し進め、業界外とも 言える科学・技術分野を積極的に取り込 むことが必要な時代を迎えていると、谷 口さんは考えている。

未来の建物づくりに参加しよう

同社では建築空間の未来を描くための 新たな要素を探求するため、リバネス研 究費「竹中技術研究所賞」を設置する。 これまで建築と関連が深かった分野に限 らず、人が住み、働き、楽しむための未 来の建築に関わるあらゆる提案が求めら れているのだ。「研究所には幅広い専門 性を持った研究員がいるからこそ、投げ 込んでいただいたものにはどんなもので も反応できると思う」と自信を口にする 谷口さん。これまで建設に使っていな かった技術だけでなく、思いもよらな かったシーズを持っている方がいるので はないか、と期待する。社会科学や生理 学、脳科学の側面からの提案など、既存 の方法論から脱却するような若い発想や 全く違う分野の人との出会いに、建築の 未来はあるのではないだろうか。「我々 の発想だと、安心安全で、省エネで、と いう考え方の延長線上のものをつくって しまいがちですが、全く違う方向の考え 方が今の課題を解決するかもしれませ ん」と谷口さんは考える。この機会に自 分だけの専門性を活かし、未来の建物に 貢献するアイデアでこの業界に一石を投 じてみないか?

 

|谷口 元 さん プロフィール| 1984年に竹中工務店入社。 構造解析技術の研究開発に従事し、 2003年同技術研究所構造部門マネー ジャー、2007年同技術研究所建設技術 開発部長、2010年同技術研究所長を経 て2012年より現職

 

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