環境負荷を低減する 人工軽石「スーパーソル」が拓く未来

環境負荷を低減する 人工軽石「スーパーソル」が拓く未来

無機系多孔質軽資材「スーパーソル」は、土木、農業、園芸、緑化、建築、環境など様々な場面で活用されている多用途資材である。廃ガラスのリサイクルから生まれた沖縄発のスーパーソル製造技術は、今や日本各地14カ所で導入されており、現在は台湾でもその製造プラントが稼働し、さらにベトナムへの展開も進んでいる。国内外へ広がるスーパーソルの用途開発の動向を追った。

未利用資源を現地で活かす

スーパーソルを製造・販売する株式会社トリムは、平成7年にリサイクル関連事業と環境ビジネスに参入した。自社で経営している飲食店で日々大量に廃棄されるガラスびんに着目したのがそのきっかけだ。ガラスびんは、もともとリサイクル、リユースしにくい資源である。事実そのほとんどが有効に活用されておらず、利用してもアスファルト舗装やブロックに混ぜ込む程度であった。全国各地どこにでもあるこの未利用資源に着目し、独自開発の技術でより高付加価値な発泡ガラスとして誕生したのが人工軽石スーパーソルだ。回収したガラスびんを粉砕後、添加剤と混合、焼成することでスーパーソルは生産される。焼成温度などの製造条件を制御して作り分けるスーパーソルは、比重や吸水率をコントロールすることが出来、その特性に合わせて用途別に販売されている。スーパーソルの特徴は、透水性と保水性に優れている点であり、軽量であり形を調整できることから施工の自由度が高く、これにより様々な場面での活用が可能となる。そして、その原料は、その用途が求められるそれぞれの地域で排出される未利用資源によってまかなうことが可能である。

現地製造が可能な水質浄化資材として海外へ

スーパーソルの用途のひとつに水質浄化が挙げられる。例えば、雨水を浄化し貯水する「雨水貯留システム」では、雨水を循環させることなく腐敗を防止し、大腸菌などの発生も抑制できることが明らかとなっている。非常に簡易に設置でき維持管理コストが安いこの雨水貯留システムは、災害への備えとして有用である他、水の確保が最重要課題である太平洋圏の島嶼地域で活用されている。トリム代表取締役社長の坪井巌氏は次のように語る。「島嶼地域において、海水から真水を作る浄水施設がほとんど使われていない状況を何度も見てきた。このような施設では、維持管理コストが大きくなってしまう。スーパーソルの場合は、設置後のランニングコストはほとんど不要で、かつ半永久的に使える。」さらにその資材は、人の生活圏であれば手に入る廃ガラスをもとに現地で環境負荷を減らしながら製造が可能なのだ。発展途上国の現状を鑑みると、維持管理が簡便なスーパーソルを使った雨水貯留システムは各地で求められる技術であろう。事実、国内外で注目を集めており、海外からのオファーも増えている。

多様な産業を支える素材として

現在までに、株式会社トリムでは畜産分野での農場排水の浄化を行う人工湿地システムや水産分野における濾過システムの構築、農業分野における土壌改良材としての活用など、研究機関と共に様々な用途開発に取り組んでいる。台湾国立海洋大学と共同で取り組む閉鎖型養殖設備の濾過材にスーパーソルを活用した実験では、その有効性が確認されている。事実、伊勢エビの水槽に濾過材として採用している三重県の業者から、水の入れ替え回数の減少、エビの事故率の低下など、その効果が報告されている。また、畜産排水を浄化する伏流式人工湿地システムにスーパーソルを活用することで、河川に流せる水準まで浄化できることを研究センターと共同で世界に先駆けて開発した。

使ってみて初めて理解される

「私たちの技術は実装されることで評価される。現在は用途について研究をしながらも、社会実装させていくことが課題である。私たちはスーパーソルで水環境改善と食糧増産に寄与できる用途開発を目指している」と坪井氏は語る。様々な用途のひとつひとつに、単に使える素材だから使うのではなく、その有用性からも選ばれて使われる素材へと着実に進化をし続けている。そして、その多用途資材は、全国各地、世界各国で、環境負荷を低減しながら製造できるのだ。

企業情報

  • 株式会社トリム
  • 創業 昭和49年10月1日
  • 創立 昭和54年2月1日
  • 資本金 127,400,000円
  • リサイクル事業本部
  • 住所:〒901-0504沖縄県八重瀬町字後原477番地
  • TEL:098-998-6023
  • FAX:098-998-6318

事業内容

  • 未利用資源リサイクル工場運営
  • 廃ガラス再資源化プラント販売
  • スーパーソル販売

スーパーソルに関するお問合せは、下部フォームから株式会社リバネスまで