〔リバネスセンシズ〕人類の進化の触媒になるひと(後編)

〔リバネスセンシズ〕人類の進化の触媒になるひと(後編)

リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。

斎藤 想聖(さいとう そうせい)
修士(薬学)

専門分野:病態生理学、分子生物学

(聴き手:佐野 卓郎)

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佐野:入社して一番最初にやった活動はどのようなものでしたか?

斎藤:墨田区の町工場を調査する仕事でした。長谷川さん藤田さん、取締役の人たちとともに、メンバーに入れてもらい、墨田区を自転車で回りながらヒアリング調査をしました。
私には、もうひとつパッションがあります。実は、祖父も兄も、経営者だし創業者なんです。祖父は鉄鋼の会社を経営していました。でも近年、ものづくり産業が衰退してきています。「じいちゃんがつくった産業が衰退していく」。修士1年の夏、私が就活を始めた頃に、そんな祖父が亡くなりました。
「自分は何のために研究者になったのだろう。研究職をやりたいわけでなくて、科学技術で社会を変える活動をしたかったのではないか」。
製造業は右肩下がりになり、日本の製造業が終わると言われ始めているのが、なぜかとても嫌だったんです。自分の力を活かしていきたい。製造業やものづくりにも注力したい。
ちょうどメーカーズムーブメントが日本に到来しつつあった時代でしたから、墨田区での活動をやりながら、何ができるかをひたすら考えました。

佐野:リアルテック系シードアクセラレーションプログラム「TECH PLANTER(テックプランター)」の立ち上げにも関わってきたと思いますが、このプログラムは、斎藤さんにとっては、どういう位置づけになりますか?

斎藤:ものづくりを再生させたいという中での一側面ですね。
研究成果をもとに0→1でビジネスを立ち上げるしくみをつくりたいと考えていました。当時の私は、研究者を集めてプラットフォームやツールがあれば、すぐにしくみができて、うまく回ると考えていました。

佐野:人材育成の視点も大切だと思いませんか?

斎藤:実は最初の頃の私には、「人材育成」というのは響かなかったんです。それが、このアイデアを自分だけで進められなかった原因だと思うんですけれどね。そこで、篠澤さんや長谷川さんたちとともに議論しながら、自分の発想を「TECH PLANTER」に合流させていきました。
「TECH PLANTER」に集まる起業家たちの多くが、研究者・技術者で、いわゆるCTO人材なんです。メンタリングして、経営の重要性を説き、経営者として育てていくことも、実はとても重要だったのです。

佐野:今は人材開発事業部に所属していますよね?

斎藤:今、私自身は次にどんな一手を打つべきか悩んでいます。「TECH PLANTER」の次に何が必要となるのか、それを探しているんです。そして、ヒントは人材育成にあると考えています。
私自身ができること、伝えられることは限られていますが、QPMI研修などを通してそれをベンチャーや町工場、大手企業の方々に注入することで、私一人ではできなかったものが実現し、より良い世界へと進化していく道を見出せると考えています。

佐野:今はもう自分で起業しようとは思わないのでしょうか?

斎藤:会社を辞めて、友人とベンチャーをつくろうと思ったこともありますが、いまは、リバネスでやるべきだと考えています。社会にしくみをつくりたい。それをやるにはリバネスの方が圧倒的に早いと悟りました。それに、自分がやりたかったことはリバネスの中の1つでしかなく、ここには同じ志の人が集まっているんです。私がやりたいことは「どんどんやりなさい」と背中も押してもらえる。
結局、会社はただの「箱」でしかなく、活動するのは人なんですよね。そしてリバネスという箱にはたくさんの人たちが集まってきます。中には人類の文化的進化を促すようなキーマンもいると思います。リバネスのメンバーとして様々なひとや技術に介在し、新たな価値の創出をするためのしくみを構築していきたいと考えています。