〔リバネスセンシズ〕獣医師と異分野の融合チームで畜産業の未来をつくるひと(後編)

〔リバネスセンシズ〕獣医師と異分野の融合チームで畜産業の未来をつくるひと(後編)

リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。

尹 晃哲(ゆん ふぁんちょる)
獣医師

専門分野:獣医内科学(牛)

(聴き手:鶴田 和枝)

→前編はこちら

鶴田:友人にリバネスを紹介されて、まずは大阪事業所(現大阪本社)を訪れたんですよね?

:はい。取締役の吉田一寛さんと岡崎さんに面談していただきました。私は、獣医師には研究者としての側面があること、その知識や研究成果をビジネスとして活かしていきたいという想いを率直に伝えたんです。「それ、すでにリバネスでやっているよ」と即答されて。驚きましたし、なんだか可能性みたいなものを感じました。獣医の知識をもっと現場に還元したい。現場から消費者に届く出口までを一気通貫で見てみたい。牛のビジネスを自分でも起こしてみたい。それらがバラバラと頭の中に溢れ出してきました。

鶴田:リバネスに入社して、一番最初にやったことってなんですか?

:実験教室ですよ。高校生を対象にしたDNA抽出実験や生分解性プラスチックの実験教室です。

鶴田:初めてやってみてどうでしたか?

:メンバーが何時間も掛けて、参加する生徒のことをずっと考え続けている状況がとても新鮮に思えました。誰かの変化を起こすために、こんなに時間を掛けて考える人たちがいるんだと、正直びっくりしました。「なぜここまでするんだろう」って。私は何もできず、ただ傍観していましたね。

鶴田:今は、その意味みたいなものを理解できたのでしょうか?

:そうですねぇ。まだ自分の言葉で表現できるまでには至っていませんね。いまだに、「そこまでやる!?」って思うこともありますからね(笑)

鶴田:今、牛に関するプロジェクトを立ち上げていますよね。

アグリノーム研究所とともに、肉牛を育てるプロジェクトを始めました。耕作放棄地を活用して牧草肥育ができないかという研究をしています。畜産のほとんどが海外から餌を輸入してきているのですが、価格が高騰しているなど、課題があります。また、放牧で管理の省力化を目指そうとも考えています。IoTを使うなどしながら、誰でも牛を飼えるような未来をつくっていきたいんです。高齢化が進む畜産業ですが、この研究が地域産業の活性化につながればとも考えています。

鶴田:素晴らしい理想ですが、現実は難しそうですね。

:もちろん大変なことも多いです。今回のプロジェクトでは、地域住民の方々の理解と協力が不可欠です。放牧するための土地も手配しなければいけません。役場や商工会議所の方に協力いただくなどしました。そして今、やっと牛を放牧できるところまできたんです。多くの方々を巻き込むためにも、どれだけプロジェクトの意義を理解し共感してもらえるか、そして、それを自分の言葉で説明できることがどれだけ大切なことなのかを思い知りました。
それに牛は最低でも5年は飼わないといけません。覚悟もいりますね。

鶴田:今後はどのような取り組みをしていくのでしょうか?

:獣医師の世界はすごく狭いんです。リバネスに来てから、異分野の研究者に会ってみて、つくづくそう思いました。獣医師の知識だけじゃ畜産業はかわらない。まったく違う分野の人たちとどれだけ協力していけるのかが重要です。今では、これまでつながることができなかった多様な人たちとつながることができています。
畜産・農業は食につながります。それは人が生きるための根幹にあるものです。そこに自分から積極的に関わっていきたい。自分にしかできないことを探求し、そこに私自身の力を注ぎ込んでいきたいと思います。

 

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