学びの場に多様性を。オープンエンロールメントの挑戦①

学びの場に多様性を。オープンエンロールメントの挑戦①

国籍が異なる人たちをたくさん受け入れて、「多様性」にすることで
視野を広げるきっかけになり、クリエイティブなアイデアが生まれるかもしれない。
そんな謳い文句は、良く聞くけれど、学力の異なるひとを集めて学びの場を多様にする。
そんなチャレンジに果敢に取り組んでいる大学がある。

デイトンは、アメリカ・オハイオ州中南部にある人口67万人の中都市だ。
デイトン郊外にある私の母校、オハイオ州デイトンにある、Wright State University では
学部レベルで「Open Enrollment」オープンエンロールメント(誰でも入ることができる)入試制度を設けていた。

Open Enrollment 制度は、高校卒業証書、またはそれと同等の資格を持っていれば成績に関係なく、誰でも入学できる。
その制度の結果、ライト州立大学には、大学第一世代と呼ばれる学生が多く通っている。
大学第一世代とは、家族の中で初めて大学へ進学をした学生のこと。
ライト州立大学のウェブサイトによれば、同大学の大学第一世代の割合は全学の4割にものぼる。

デイトンも、アメリカ全国の中都市と同じように、市民の貧富の差という問題を抱えていて、
市民全体の貧富の差を小さくするためにも、市民の教育年数を高校卒から大学、大学院卒と伸ばしていくことが、
経済発展を後押しするために重要になってくる。そういった意味で地域活性や貧困の解消のためにも、デイトン地域でライト州立大学が担う社会的責任は大きい。

私は大学院生としてこの大学に在籍していたが、RAとして学部生を教えたときには、本当にいろいろな学生がいたのを覚えている。
最初から頭を突っ伏して寝ている学生や、じっとしていられない学生。シングルマザーも多く、授業を休んだり、遅刻してくる学生もたくさんいた。
ただ、学力というベクトルのみならず、個々の個性や過去の経験が多様だったのも覚えている。

例えば学部から大学院へ上がってきたアリッシアは、大学第一世代の一人。
家はデイトン市街から離れた牧草地帯にあった。家には馬が2匹、犬が5匹、猫が4匹。
彼女と授業の間に雑談するのがとても楽しかった。

学力の異なるひとを集めて学びの場を多様にする。
母校の卒業率は2割(2013年度)。まだまだ難しい課題だと思うけれど、とても意義がある取り組みだと思う。

次回は、そんな大学第一世代を後押しするプログラムを推進する女性を紹介します!