宇宙ハッカソンが盛況 13,687人の「宇宙人」が NASAのデータをHack!

宇宙ハッカソンが盛況 13,687人の「宇宙人」が NASAのデータをHack!

NASAやJAXAの提供するオープンデータを使って、社会をより良くするアイディアを世界各国で競うハッカソンイベント。それがInternational Space Apps Challenge(ISAC) だ。4年目となる今年は4月11日・12日に世界133箇所、日本では東京・会津ほか全5ヶ所で同時開催された。全世界では約14千人が参加したとホームページでは発表されている。

異才を放つ宇宙好き=「宇宙人」

「エンジニアどうしの出会い系イベント」とも親しみをこめて言われることも多いハッカソン形式のイベントだが、ISACには毎年、アカデミアに属する研究者からIT系エンジニア、メディアアーティストまで様々な才能が参加しており、まさに宇宙大好きハッカーの出会いの場となっている。生み出す成果も、参加者の強みを活かしており、これまでも、人工衛星のマッピングデータを使って環境問題や水資源、次世代農業などの社会の課題に真正面から取り組むプロジェクトもあれば、火星や月の画像から人工知能で奇妙な地形を探すものもあり、既存の路線に縛られないHackが多い。

NASAからのミッション

今年は主催者側から外宇宙・地球・人間・ロボット技術の4カテゴリに分けられた複数の課題が示されていた。昨年までの縛りのゆるいハッカソンから一転、強い方向付けを行ってきた印象を受ける。事務局長の湯村さんは「昨年までの成果が予想以上にNASAを驚かせたからではないでしょうか。世界中の市民ハッカーの優秀さがNASAを欲張りにさせたのかもしれない」と語る。東京会場では課題を正面から取り上げた、いわゆるガチ勢が7割くらいで、去年よりもミッション性のある発表が増えたと感じた。精密位置観測を応用した農業や、食料生産と流通の可視化、飲用可能な水資源のマッピングといった実用を意識したもの、次世代に宇宙に目を向けさせるための教育・啓発目的のアプリなどが見られた。一方で、ISAC東京常連「宇宙文明探索プロジェクト・マー」からの派生チームが複数活躍し、ニコ動やPepperなどを活用して暴れまわっていた。

求む、「宇宙人」

取り組みは真剣だが参加のハードルは高くなく、遊び心のあるプロジェクトも許容するのがISACというイベントの魅力に感じた。NASA・JAXAのデータという豊富な素材を使って、宇宙開発をもっと楽しく、役立つものにしようという「宇宙人」達は、常に新しい仲間を求めている。(石神 工平)

 

特集:宇宙世紀が待ち遠しい